「お腹が張って苦しい」「ガスが溜まってつらい」「緊張するとお腹が痛くなる」「便秘と下痢を繰り返す」——検査では異常がないのに、こうしたお腹の不調が続く。30代・40代の女性で、このような悩みを抱える方は少なくありません。
この記事では、お腹の張りや便通の乱れの背景にある「過敏性腸症候群(IBS)」とはどんなものか、なぜ起こるのか、暮らしのなかでできるセルフケア、そして「これは受診を」という見分け方を、公的なガイドラインの情報をもとにわかりやすく整理しました。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、診断・治療を目的とするものではありません。気になる症状があるときは医療機関にご相談ください。
お腹の張り・便通の乱れが続く——「過敏性腸症候群(IBS)」という考え方
お腹の痛みや調子の悪さと関連して、便秘や下痢などのお通じの異常(排便回数や便の形の変化)が数か月以上続くとき、最も考えられるのが過敏性腸症候群(IBS)です。日本消化器病学会の患者さん向けガイドによると、これは大腸に腫瘍や炎症などの病気がないことを前提とした、機能の不調による状態です。
とてもありふれた病気でもあります。同学会のガイドによれば、およそ10%程度の人がIBSであるといわれ、女性のほうが多く、年齢とともに減っていくことがわかっています。命に関わる病気ではありませんが、お腹の痛み・便秘・下痢・不安などの症状で日常生活に支障が出ることが少なくありません。
便の状態によって、IBSはいくつかのタイプに分けられます。
- 便秘型:硬い便が中心。ストレスを感じると便秘がひどくなりやすい。
- 下痢型:ゆるい便が中心。緊張するとお腹が痛くなったり下痢をしたりしやすい。
- 混合型:便秘と下痢を交互に繰り返す。
- 分類不能型:上記にあてはまりにくいタイプ。
「お腹の張り」や「ガスが溜まる感じ」は、こうしたIBSの症状の一つとして強く出る方も多いとされています。
なぜお腹の張り・ガスが起こるの? カギは「脳と腸のつながり」
腸は、食べ物を運ぶ収縮運動と、腸の変化を感じとる知覚機能を持っています。この運動と知覚は、脳と腸が互いに通信し合うこと(脳腸相関)でコントロールされています。日本消化器病学会のガイドでは、IBSの背景として次のような要因が挙げられています。
- ストレス:不安な気持ちになると大腸の収縮運動が激しくなり、痛みを感じやすい「知覚過敏」の状態になります。これが強いのがIBSの特徴です。
- 知覚過敏:健康な人なら感じない程度の弱い刺激でも、お腹の痛みや張りとして感じてしまうことがあります。
- 感染性腸炎のあと:細菌やウイルスによる胃腸炎にかかったあと、回復してもIBSになりやすいことが知られています。
- 腸内細菌の変化:腸内細菌の様子が変わることで、腸の運動や知覚が敏感になると考えられています。
仕事・家事・育児でストレスや緊張が重なりやすい30代・40代は、こうした脳と腸のバランスが乱れやすい時期でもあります。「気のせい」や「気が弱いから」ではなく、体のしくみとして説明がつく不調なのです。
今日からできるお腹の張り・ガスのセルフケア
日本消化器病学会のガイドでも、まず生活習慣の改善が重要とされています。お薬を使う場合でも、こうした土台づくりは並行して役立ちます。無理のない範囲で取り入れてみてください。
食事を見直す
- 3食を規則的にとり、暴飲暴食や夜間の大食を避ける。
- 症状を起こしやすい食べもの(脂肪の多い食事、香辛料、カフェイン、乳製品など)に心当たりがあれば、できるだけ控える。
- 刺激物・高脂肪の食べもの・アルコールは控えめに。
- ヨーグルトなどの発酵食品は症状の軽減に役立つとされています。便秘型の方は食物繊維を多く含む食品も効果的とされます。
ストレスと生活リズムを整える
- ストレスを溜めず、睡眠・休養を十分にとる。
- 規則正しい生活を心がけ、自分に合ったリラクセーション法を見つける。
- お酒・タバコに頼らない。
適度に体を動かす
適度な運動によっても症状の軽減効果が期待できるとされています。運動不足の方は、続けられる範囲の運動を習慣にしてみましょう。激しい運動である必要はなく、無理なく継続できることが大切です。
自宅で、自分のペースで体を動かしたい方へ
お腹の調子が気になるときは、生活リズムを整えたり、気持ちをほぐしたりすることも大切にしたいもの。自宅で取り組めるオンラインヨガなら、外に出るのが億劫な日でも、自分のペースで体を動かす時間がつくれます。深い呼吸とともに体を動かす時間は、気分転換のきっかけにもなります。
※本リンクは広告(アフィリエイト)を含みます。ヨガは医療行為ではなく、特定の症状の治療・改善を保証するものではありません。体調のすぐれないときは無理をせず、気になる症状があるときは医療機関にご相談ください。
こんなときは受診を——見逃したくないサイン
IBSは、大腸に病気がないことが前提の状態です。裏を返せば、大腸がんや潰瘍性大腸炎など、ほかの病気が隠れていないかを確かめることがとても大切だということでもあります。
日本消化器病学会のガイドでは、次のような警告症状・徴候がある場合や、危険因子がある場合には、大腸内視鏡検査などで詳しく調べるとされています。当てはまるものがあれば、自己判断で様子を見ず、消化器内科などの医療機関を受診してください。
- 血便(便に血がまじる)
- 発熱を伴う
- 原因の心当たりがない体重の減少(予期しない体重減少)
- 50歳以上で新たに症状が出た
- 過去に大腸の病気にかかったことがある、または家族に大腸の病気の人がいる
また、IBSと診断されたあとでも、潰瘍性大腸炎やクローン病など別の腸の病気を後から発症することがあると報告されています。便に血がまじる・体重が減るなど気になる変化があるときは、改めて専門医を受診してください。
なお、IBSは、胃もたれ(機能性ディスペプシア)や胸やけ(胃食道逆流症)を一緒に持っている方が多いことも知られています。また、ストレスや不安・気分の落ち込みが強く関わっている場合は、消化器内科だけでなく心療内科への相談も選択肢になります。お腹の不調が重なっていたり、気持ちのつらさを伴ったりするときは、まとめて相談してみるとよいでしょう。
まとめ
お腹の張りやガス、便秘と下痢の繰り返しが続くときは、過敏性腸症候群(IBS)が関わっているかもしれません。ストレスや知覚過敏など「脳と腸のつながり」が背景にある、ありふれた・説明のつく状態です。3食規則的にとる、症状を起こしやすい食べものを控える、睡眠やストレスを整える、適度に体を動かす——こうした生活習慣の見直しが対処の土台になります。
一方で、血便・発熱・思い当たらない体重減少などがあるとき、50歳以上で新たに症状が出たときなどは、ほかの病気を確かめるためにも受診を。お腹の不調を「体質だから」と抱え込まず、自分の体をいたわる一歩にしていただけたら幸いです。
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主な参考情報
・日本消化器病学会「患者さんとご家族のための過敏性腸症候群(IBS)ガイド2023」
・日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2020-過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版)」
本記事はBody Reset Lab編集部が作成しました。一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。症状や治療については医療機関にご相談ください。

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