「食後に胸が焼けるようにジリジリする」「酸っぱい液体がのどまで上がってくる」「夜、横になると胸やけがして眠りにくい」——30代・40代の女性で、こうした胸やけや呑酸(どんさん)の悩みを抱える方は増えています。
この記事では、胸やけ・呑酸の背景にある「胃食道逆流症(GERD)」とはどんなものか、なぜ起こるのか、暮らしのなかでできるセルフケア、そして「これは受診を」という見分け方を、公的なガイドラインの情報をもとにわかりやすく整理しました。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、診断・治療を目的とするものではありません。気になる症状があるときは医療機関にご相談ください。
胸やけ・呑酸が続く——「胃食道逆流症(GERD)」という考え方
胃の中の酸(胃酸)が食道へ逆流することで、胸やけや呑酸などの不快な症状が起きたり、食道の粘膜がただれたりする病気を、胃食道逆流症(GERD:ガード)と呼びます。日本消化器病学会の患者さん向けガイドによると、主な症状は次のようなものです。
- 胸やけ:みぞおちの上が焼けるようにジリジリする、しみるような感じ
- 呑酸(どんさん):酸っぱい液体がのどや口まで上がってくる感じ
- 胸が詰まるような痛み、のどの違和感、慢性的な咳が出ることも
胃酸の逆流は食後2〜3時間までに起こりやすいため、食後にこうした症状を感じるときは、逆流が関係している可能性があります。
GERDには、食道粘膜にただれ(炎症)があるかどうかで複数のタイプがあります。胃カメラでただれが見つかるものを「逆流性食道炎」、ただれがないのに胸やけなどの自覚症状があるものを「非びらん性逆流症(NERD)」と呼びます。後者は食道が敏感になっていて、わずかな逆流でも強く症状を感じることがあるとされています。
とてもありふれた状態でもあります。同学会のガイドによれば、現在では成人のおよそ10〜20%がGERDにかかっていると推測されています。食生活の変化やピロリ菌感染者の減少などを背景に、近年は患者さんが増えています。
なぜ胸やけ・呑酸が起こるの?
通常は、胃と食道のつなぎ目にある筋肉(下部食道括約部)が、胃酸の逆流を防いでいます。健康な人でも食後に少し逆流することはありますが、食道の動き(蠕動運動)ですぐに胃へ戻され、問題にはなりません。
ところが、この防ぐしくみや食道の動きがうまく働かないと、胃酸が食道にとどまりやすくなります。日本消化器病学会のガイドでは、次のような要因が関わるとされています。
- 胃と食道のつなぎ目のゆるみ:胃の一部が横隔膜の上にせり上がる「食道裂孔ヘルニア」があると、逆流が起こりやすくなります。
- 食道の知覚過敏:ただれがなくても、わずかな逆流に敏感に反応して症状が出ることがあります(非びらん性逆流症)。
- 生活習慣・食習慣:食べ過ぎ、高脂肪食、就寝前の食事、肥満、前かがみの姿勢、喫煙などが逆流を起こしやすくするとされています。
仕事・家事・育児が重なる30代・40代は、食事が不規則になったり、夜遅くに食べたり、前かがみ姿勢が続いたりしがちな時期。こうした要因が重なると、胸やけを感じやすくなることがあります。
今日からできる胸やけ・呑酸のセルフケア
日本消化器病学会のガイドでも、生活習慣・食生活の見直しは対処の基本に位置づけられています。どの程度効くかには個人差がありますが、なかでも改善効果が高いとされているのは体重を減らすこと(肥満の解消)と上半身をやや起こして寝ること(頭側挙上)です。無理のない範囲で取り入れてみてください。
食事面で見直したいこと
- 食べ過ぎを避け、腹八分目を意識する。
- 高脂肪食、甘いもの、チョコレート、コーヒー、炭酸飲料、柑橘類、アルコールは、症状を起こしやすいことがあるので控えめに。
- 就寝前の食事を避ける(食後すぐ横にならない)。夕食から寝るまでに時間をあける。
姿勢・生活面で見直したいこと
- お腹を締め付ける服やベルトを避ける。
- 前かがみの姿勢や、重い物を持つ動作を控えめに。
- 寝るときは上半身を少し高くする(頭側を挙げる)と、夜間の逆流がやわらぐとされています。
- 過体重の方は、減量が症状の軽減につながることがあります。喫煙習慣のある方は禁煙も役立ちます。
体を動かす習慣も土台に
適度に体を動かすことは、体重管理や生活リズムを整える助けになります。ただし、食後すぐの激しい運動や、お腹を強く圧迫する動きは逆流を招くことがあるので、食事と時間をあけて、無理のない範囲で行いましょう。
自宅で、自分のペースで体を動かしたい方へ
体重管理や生活リズムづくりのために体を動かしたいけれど、ジムに通う時間はない——という方には、オンラインヨガという選択肢があります。自宅で、空いた時間に、自分のペースで取り組めます。食後すぐを避けるなど、体調に合わせて無理なく続けてみてください。
※本リンクは広告(アフィリエイト)を含みます。ヨガは医療行為ではなく、特定の症状の治療・改善を保証するものではありません。体調のすぐれないときは無理をせず、気になる症状があるときは医療機関にご相談ください。
こんなときは受診を——見逃したくないサイン
GERDそのものは、ただちに命に関わる病気ではないとされています。ただし、胸やけや胸の痛みといった症状は、ほかの病気でも起こりえます。とくに胸の痛みは心臓の病気でも生じるため、いつもと違う強い胸の痛みや、締めつけられるような痛み、息苦しさ・冷や汗を伴うようなときは、自己判断せず速やかに医療機関を受診してください。
また、日本消化器病学会のガイドでは、市販薬や処方薬を使っても症状がよくならないときは、食道がんや消化性潰瘍などほかの病気でないかを確かめるために、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を受けることが望ましいとされています。次のような場合は、消化器内科などへの相談をおすすめします。
- 食べ物が飲み込みにくい、つかえる感じがある
- 原因の心当たりがない体重の減少
- 吐血や黒い便など、出血を疑うサイン
- 市販薬を使っても症状が続く・繰り返す
- 胸やけのほかに、長引く咳・のどの違和感・声がれなどが続く
GERDは、生活習慣の見直しやお薬で多くの方が症状を和らげられる病気とされています。食道炎の程度によっては、薬を続けたほうがよい場合もあるので、自己判断で中断せず、医師と相談しながら進めることが大切です。
まとめ
胸やけや呑酸が続くときは、胃酸の逆流による胃食道逆流症(GERD)が関わっているかもしれません。ありふれた状態で、生活習慣・食生活の見直し(食べ過ぎ・就寝前の食事・高脂肪食を避ける、減量、上半身を起こして寝る、など)が対処の土台になります。
一方で、強い胸の痛みや息苦しさを伴うとき、飲み込みにくさ・体重減少・出血のサインがあるとき、市販薬でよくならないときは、ほかの病気を確かめるためにも受診を。胸やけを「いつものこと」と我慢せず、自分の体をいたわる一歩にしていただけたら幸いです。
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主な参考情報
・日本消化器病学会「患者さんとご家族のための胃食道逆流症(GERD)ガイド2023」
・日本消化器病学会「胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3版)」
本記事はBody Reset Lab編集部が作成しました。一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。症状や治療については医療機関にご相談ください。


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